
皆様こんばんは。
唐突ですが、みなさま骨川スネ夫という人物をご存知ですか?
骨川スネ夫とは言わずと知れた国民的アニメ『ドラえもん』に出て来る嫌味キャラです。
お父さんが大企業の社長であり、その交友関係は芸能から政治家まで幅は広く顔が利き、それを同級生ののび太やジャイアンに惜しみなく自慢し、それがよく話の冒頭でいかん無く発揮されております。
ドラえもんの起承転結の“起”を作る役割を担っている非常に重要な人物であります。
そんな骨川スネ夫、皆様は単に嫌味な奴、で終わってはいませんか?
実は骨川スネ夫、非常に頭が良く類い稀な言葉の魔術師と言えましょうか、本当にその嫌味には技術的なソレが見られます。
今日は骨川スネ夫の「嫌味」について考察していきます。
むかしのレコードプレイヤーだよ。ちくおん機というんだ。
アハハハ、きみにはわからないだろうな、こういう高級なしゅみは。
ぼくのうちにみたいにさ、車とかクーラーとか電子レンジとか。
便利なものが、なにもかもそろっちゃうとさ、古くさいのもが、すごおくなつかしく感じられるんだ。
あくまでも自慢がメインですが少し自分を卑下するような“古臭いものが好き”という言葉を使うことによりさらに嫌味を序ちょうさせております。
どう、よくなれているでしょう。ぼくがくんれんしたんだ。さかなもなれると、かわいいよ。きみたちもかってみな。
あっ!
ごめんごめん。わるいこといって。このへんで、にわに池があるのは、うちだけだった。
自分への反省をすることにより相手に対してさらなる負の感情をもたらしております。
ざっと一億年も昔、白亜紀とよばれる時代……。地球上は、は虫類の天下だった。その中でも、王者とよぶのにふさわしいのがチラノザウルスだ!
これがそのツメの化石だ。ユタ州の恐竜公園で発掘されたんだ。パパのアメリカみやげさ。
ただ単に自慢するだけではなく、そのバックグラウンドまで理解しているという頭の良さ。
大きいだろう。うちのこいのぼりは。ぼくがうまれると、すぐかってくれたんだ。
あのこいのようにと、元気にそだてといのって……。ぼくは、つくづくしあわせだと思うなあ。
こいのぼりもかってもらえない子はあわれだよなあ。
親への感謝も忘れません。
素敵な少年です。
切手マニアなら、この程度の物を一つくらいもちたいもんだねえ。
ぼくのパパはこっとう品のコレクション。ママは宝石。
それぞれ道はちがうけど…、うちの家族に共通してるのは、一級品しかあいてにしないってことだね。
この言葉選び、大人顔負けであります。
いやあきのどくだったね。ぐうぜんにもきみらのボートが大和の前をうろうろしちゃって…。
かりかりするなって。べんしょうしてやるよ。あんな安物。
それにくらべてぼくの大和! 縮尺150分の1、全長1.75メートルの大模型だぜ。
いとこの大学生がラジコンの天才でね。作ってもらったんだよ。
みてくれ、この重量感!この迫真力!まさに黒鉄の城というべき…。
謝罪風自慢。
のび太の劣等感を最小限の言葉で最大限の効果をもたらせております。
力強い汽笛! ピストンがゆっくりと動き出し、やがて…巨大な鉄のかたまりが、大地をゆるがせてばく進するんだ。
SLはよかったなあ…………。でも、もうすっかりすたれちゃって、日本ではあそこでしかのれないんだ。
きみたちもお父さまにおねがいして、つれてってもらったら?
だめかもしれないけど
この表現力の高さと言ったら。
知識もしっかりと頭に入っております。
ふうん、かぜをひいたの。それはざんねんだなあ。
四丈半島の別荘へいくんだよ。ぜひきみも、さそおうと思っていたのに。
ウニやアワビやサザエがごろごろ……。とりたてをツボヤキにすると、おいしいのなんのって…。
ジャイアンやしずちゃんもくるんだけど、かぜじゃしょうがないな。
最初と最後に皮肉を挟むことによってのび太の怒りゲージを助長させる高度テクニック。
ぼくぐらいのマニアになると、いろいろ改造してたのしんでいるんだ。
デコレーション・チョロQ、トレーラーの後ろに電池をつみこんで、豆電球を光らせる。夜走らせるときれいだよ。
水上チョロQ、後輪から画用紙の筒をのばし、キビガラをつめて、プラスチックの板をさしこみ、発泡スチロールの船体にとりつけた。
ぷろぺら飛行機に改造したかったんだけど、むりなのでグライダーにしたんだ。一階の窓から発進させると、けっこうとぶんだよ。
これはじょうだん。紙ねんどのおそなえをかぶせて、ミニだこをひかせるんだ。正月むきで、おもしろいだろ。
自分語りの中にドラマを展開させております。
話を聞くだけで容易に情景が浮かんできます。
うちの庭って広いじゃない。木がいっぱいしげってるじゃない。だからガラス戸をあけると………。
さわやかな風が緑のかおりをのせてふきぬけていくんだよ。
ゆっくりしてっていいよ。せまい家に帰りたくないだろう。
詩的な表現からの畜生発言。
その落差はまさに嫌味のフリーフォール。
とつぜんサッポロラーメンが、食べたいといいだして…。思い立ったらすぐ実行するのが、うちの家族なんだ。
さっそくジャンボジェットで北海道へ……。金曜日の夕方だよ。
秋風は寒かったけど、あついあついバターラーメンのうまかったこと!!
あのうまさはとても言葉ではあらわせないね!
土曜、日曜はレンタカーで気ままなドライブさ。秋の北海道もなかなかいいもんだよ。
見よこの緩急を。
聞き手が涎を垂らしそうになるほどの美味の表現力。
さらにはジャンボジェットからの秋の北海道ドライブ。
この緩急のつけ方には天性の才能を感じます。
ぼくみたいに海外旅行のベテランになると、ハワイなんて今さらと思うけど、
きてみるとけっこう気軽で楽しいよ。
この楽しさを、きみにもわけてあげたくて写真を送る。
たぶん、どこへもいけなくてみじめな夏休みをすごしているだろうから…。
親友を気遣う優しい心も忘れません。
松たけ山へいったんだ。も~、とりほうだいのたべほうだい。
土びんむしやらやき松たけ、松たけめしにすい物…。とりたてだからさ、かおりも舌ざわりもなんともいえないんだ。
腹いっぱいたべちゃった。きみたちもぜひいくといいよ。いや、高いからむりかな。
最後の最後で親友に現実を突きつける畜生さ。
スネ「パパがビデオ会社の社長さんと友だちでね、できたての見本をもらってきたんだ。」
のび「その先はきかなくてもわかってんだ。『みんなでうちにみにこない。あ、悪いけどのび太はだめ、このビデオ三人用だから。』とかなんとかいうんだ。」
スネ「なんと、三人用のビデオなんだよ。だから悪いけどのび太は…。あれ、もう帰ったの。」
3人用のビデオならのび太も諦めるしかなかろう。
プラモの道は広く奥深い。そのプラモ道にどれだけ真剣にとりくむかという心がまえが、
二枚の写真のちがいとなってあらわれているのだ!!
ぼくなんか、毎日研究にあけくれているんだぞ。
「プラコン大作」をよんだり、いとこに家庭教師をたのんだり、
物置を特設ジオラマスタジオにしてるんだ。
ぼくの神聖なプラモ道場だぞ。のび太がみたがるなんて十年早い。
ちょっとしたプラモデルでさえ途中で投げ出してしまうのび太には100年早いまである。
自家用飛行機だぜ。アメリカの金持ちってちがうんだよなあ。持ち主はパパの友だち、ミリオネヤ・カネダさん。
それをのりまわしてハワイの島めぐりをやったんだ。自家用機はいいね。いつでもどこへでもすきなところを
とびまわれるんだから。パパなんかすっかり気に入っちゃってさ。うちでもかおうかなんて。
毎朝学校へいくにも、自家用機でグランドでスーッと……。
スーッと……。
最後は語らずに自分たちの頭で想像さすのも匠の技。
すばらしかったよ。ブルートレインの旅。
ベッドはゆったり。町のあかりが、矢のように窓の外をすぎていく。まるで、星の海をとんでいるみたい。
終点が九州の鹿児島さ。指宿の海岸でたっぷり泳いで帰ってきたんだ。楽しかったなあ!
なんと詩的な表現か。
町の明かりが矢のように•••。
本当に美しい比喩です。
いかがでしょうか。
この表現力、コミュニケーション力を持ってして大成しないわけはありませんね。
本当にこんな刺激的な親友を持つのび太が本当に羨ましくて仕方ありません。
猫型ロボットなんかよりよっぽど将来の糧になること請け合いです。